皆さんこんにちは。
東京都千代田区、麹町駅と半蔵門駅の間、新宿通り沿いのビル2階・3階にある整形外科クリニック「One Clinic 麹町」院長の栗本です。
今回は「スポーツ整形外科とは何か?」について、少し私見も交えながらお話ししたいと思います。
スポーツ整形外科という言葉を聞くと、プロ野球選手やJリーガー、オリンピック選手など、一流アスリートを診る特別な診療科をイメージする方も多いかもしれません。
もちろんそれも間違いではありません。
しかし私自身は、スポーツ整形外科とは「競技レベルに関係なく、その人がやりたい活動を続けられるよう支援する医療」だと考えています。
その対象は決してトップアスリートだけではありません。
部活動を頑張る中高生。
週末にランニングを楽しむ会社員。
ゴルフが趣味の方。
マラソン大会を目標にしている方。
子どもと公園で思い切り遊びたいお父さん、お母さん。
その人にとって大切な活動があり、それを続けたいという思いがあるなら、そこにはスポーツ整形外科が関わる余地があります。
スポーツ整形外科は「治す」だけではない
一般的な整形外科では、
「痛みを取る」
「炎症を抑える」
「骨折を治す」
といったことが主な目的になります。
もちろんそれは非常に重要です。
しかしスポーツ整形外科では、その先まで考える必要があります。
例えば膝が痛いランナーがいたとします。
痛みだけなら湿布や注射で改善するかもしれません。
しかし、
なぜ膝に負担が集中したのか。
走り方に問題はないのか。
股関節や足関節の機能は十分なのか。
トレーニング量は適切だったのか。
そうした背景を考えなければ、痛みは繰り返されます。
つまりスポーツ整形外科では、
「どうやって治すか」
だけでなく、
「どうやって再発を防ぐか」
そして、
「どうやって元のパフォーマンスに戻すか」
まで考える必要があります。
病院のスポーツ整形外科とクリニックのスポーツ整形外科
実は同じ「スポーツ整形外科」という言葉でも、病院とクリニックでは役割が少し異なります。
病院のスポーツ整形外科では、
前十字靱帯損傷(ACL損傷)
半月板損傷
肩関節脱臼
反復性肩関節不安定症
腱板断裂
などに対する手術治療が大きな役割になります。
スポーツ整形外科医の先生方は、高度な手術技術を用いて選手を競技復帰へ導いています。
スポーツ整形外科という言葉から多くの方がイメージするのは、実はこの領域かもしれません。
一方で、クリニックレベルのスポーツ整形外科では少し景色が変わります。
むしろ中心になるのはリハビリテーションです。
手術が必要な患者さんを見極めることも重要ですが、それ以上に、
・なぜ痛くなったのか
・どうすれば再発を防げるのか
・競技復帰まで何を行うべきか
を考え続けることが求められます。
当院でもスポーツ障害の患者さんを多く診察していますが、実際には手術が必要になるケースは一部です。
多くの患者さんは、
オーバーユース
フォームの問題
筋力不足
柔軟性低下
身体の使い方の癖
などが背景にあります。
だからこそ理学療法士による評価や運動療法が非常に重要になります。
「画像」と「機能」は必ずしも一致しない
スポーツ整形外科を診療していると、MRI画像と症状が一致しないケースを数多く経験します。
MRIでは異常がある。
しかし本人は全く痛くない。
逆に、
画像上は大きな問題が見当たらない。
それなのに競技中は強い痛みが出る。
こうしたことは珍しくありません。
もちろん画像診断は極めて重要です。
しかしスポーツ整形外科では、
立つ
歩く
しゃがむ
走る
跳ぶ
投げる
といった「動き」を見なければ分からないことがたくさんあります。
私自身、画像だけで患者さんを判断するのは危険だと感じています。
なぜなら患者さんが困っているのはMRI画像ではなく、実際の生活や競技だからです。
患者さんごとに正解は異なる
スポーツ整形外科が難しい理由の一つは、患者さんごとにゴールが違うことです。
高校最後の大会が控えている選手。
プロ契約を目指している大学生。
健康維持のためにジョギングを続けたい方。
同じ診断名でも求める結果はまったく異なります。
だから治療方針も変わります。
教科書的な正解が、その患者さんにとっての正解とは限りません。
スポーツ整形外科では、病気だけを見るのではなく、人を見る必要があります。
私はそこが最も重要な部分だと思っています。
私が考えるスポーツ整形外科
ここからは完全に私見です。
スポーツ整形外科とは、単にスポーツ外傷やスポーツ障害を治療する診療科ではありません。
患者さんが大切にしている活動を理解し、その目標達成を支援する医療だと思っています。
そのためには、
画像を見ることも必要です。
注射をすることもあります。
手術が必要な場合には適切な病院へ紹介することもあります。
しかしそれ以上に重要なのは、
「この人は何をしたいのか」
を理解することです。
試合に出たいのか。
完走したいのか。
趣味を続けたいのか。
子どもと遊びたいのか。
そこを理解しなければ、本当の意味で寄り添った医療にはなりません。
最後に
スポーツ整形外科というと、華やかなアスリート医療を想像されることがあります。
しかし実際には、患者さん一人ひとりの日常や目標に向き合う、非常に地道な医療です。
病院では手術を中心に。
クリニックではリハビリテーションを中心に。
それぞれの立場から患者さんの「やりたい」を支える。
それがスポーツ整形外科の本質ではないかと私は考えています。
痛みを取ることは大切です。
けれど、その先にある「また走れる」「またプレーできる」「また楽しめる」を実現することこそが、スポーツ整形外科の役割なのではないでしょうか。
One Clinic 麹町では、診断や治療だけでなく、姿勢や動作の評価、運動療法、再発予防まで含めてサポートしています。
もしスポーツ中の痛みや繰り返す故障でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
皆さんが大切にしている活動を、少しでも長く続けられるようお手伝いできれば幸いです。